ちっちゃな頃から、犬図鑑をめくっては、胸ときめかせていた。
そこに写る、かっこいい犬、かわいい犬、面白い犬、
いかつい犬、ぶちゃいくな犬、いろいろ、いろいろ。
ふわふわ、もふもふ、つるつる、ぼさぼさ!!
それぞれの犬には、なぜそんな姿をしているのか?
ちゃ~んと理由がある。
そしてもちろん、
姿が違えば持って生まれた能力や性質もそれぞれ違う。
鼻を使って地面の匂いを嗅ぐのが得意だったり、
(匂いって一口で言っても、古い匂いが得意、
新しい匂いが得意なども、あるのだって!すごい!!)
目を使って獲物を追うのが得意だったり、
めちゃくちゃスタミナがある長距離ランナー、
ものすごいトップスピードで走る短距離ランナー。
怯える家畜をそっと集める冷静さと目力があるやつ、
怒って向かってくる家畜を留めるパワーあるやつ。
獣の住処の巣穴に自力で潜って仕留めるタフなやつ、
貴族のお膝に座って寵愛を受けるお上品なやつ。
挙げていくと、きりがないほど!!
というのも、
今日ある全ての犬種は、長い時間を経て、
人間の暮らしの中で生み出されて来たものなのだ。
一万年前に、犬と出会ってから、
人は獣の存在を察知できるようになり、
暗闇で安心して眠れるようになる。
そして、側に犬がいたから、
人々は家畜を囲って飼育することができるようになった。
文明の発達の背後にいた、
犬という大きな大きな存在。
この動物がいなかったら、
きっと人類はここまで発展できなかった。
野生で生きるより、
人間と共に暮らすことを選んだ生き物。
そしてそれは一万年もの間、
進化しながら続いて来た関係。
犬は生まれながらにして、人類のパートナーなのだ。
犬図鑑をめくりながら、
私はこのような犬と人が共に歩んで来た歴史に
強烈なロマンを感じていました。
さてそんな犬オタクが大人になり、
犬たちと暮らし、しばらく経ったその頃。
ドッグスポーツやドッグトレーニング、
しつけ、訓練というものに、
すっかり疲れていた私がいました。
人と犬の理想の姿を追いかけるうちに、
結果や形ばかりを追いかけ、
自分や犬たちにもマイナスをつけてしまう。
気づけば、あれもこれも、させてはダメ!
と、禁止の多い犬との生活。
いつのまにか、心のゆとりがなくなり、
犬たちとの暮らしが楽しいと思えなくなっていました。
こんな風にキチキチとして、犬と暮らしたかったんだっけ?
昔に描いていた犬へのわくわく感が胸からすっかり消え、
ただ、なんとなく犬たちと暮らす毎日。
こんなんじゃなんか違うなぁ。
ある種の絶望に似た気持ちだってある。
そもそもなぜ私は犬と暮らしたかったんだっけ?
いったい私の、犬へのワクワクはどこいった??
そんな犬への純粋な気持ちを取り戻すため、
一度、自分の原点に戻ってみたら良いのかも。
そう思った時に、頭に浮かんだのが、
幼い頃に訪れたイギリスで見て感じていた、
犬と人との暮らしでした。
続く。。。