私は、小学校2年から3年生の間、
イギリスのセントオールバンス”st.Albans”という
ロンドン郊外の小さな町に住んでいました。
とっても雰囲気の良い町です!町の魅力などは上のリンクをクリック!
木の塀に囲まれた芝生の庭にはリスが訪れ、
塀の下にハリネズミ、そして生垣の上にはコマドリ。
近くの大きな公園、ベルラミュームパークには、
大きな湖があり、そこにはいつもたくさんの水鳥がいて
散歩を楽しむ人と犬の姿がありました。
当時は英語もわからない、話せない私が
イギリスの普通の小学校に突然転校したわけですが、
母にこれだけは覚えたい、と英語で習っていた言葉が
”Do you have any pets?”
「あなたはペットと暮らしていますか?」
というフレーズ。
生まれながらにして、動物が好きで、
犬や猫を飼っているお家に
お邪魔するのが下校後の楽しみだったのです。
今から思うと、返事もわからないのに
よく聞けたなぁと思うんですけど、
これが初日から大成功して、まずは長毛の猫(今思えばメインクーン)
のいるニッキーの家に遊びに行くことができました。
いつだって動物への興味は易々と言葉の壁を超えるのです。
(もちろん今だって、老若男女、動物の話を始めたら止まりません^^;
最近は、昆虫分野にまで・・・)
さて、そんなお宅の動物見せて!作戦で、
お友達がどんどん増えていった私でした。
そんなある日、学校の近くの通りを歩いていたら、
きゃっきゃと外で楽しそうに遊んでいるクラスメイトの
ルーシー・エドワードとコリン・マンスフィールドを発見!!!
(ノンフィクションぽさが出るので苗字も。
たくさん友達の名前が出て来ます^^;)
ルーシーの家はこんなに学校の近くにあるの?
と思いつつ近づいて行くと、
そこで目にした光景に衝撃が走ります!!!
なんと二人の傍に、大きな大きなゴールデンレトリバーが
楽しそうに遊んでいたのです。
そのレトリバーは紐に繋がれておらず、どこへ行くでもなく
子供達と嬉しそうに混ざっていました。
この光景と感激を私は一生忘れないと思います。
(当時はラブラドールもすっごく珍しい、憧れの犬でしたから!)
その優しい大きなゴールデンレトリバーは、
名をピーナッツと言いました。
ピーナッツは、本物のピーナツクリームより、
もっと白い綺麗なクリーム色でした。
(今の日本だったら、英国ゴールデンレトリバーって呼ばれているタイプ)
ピーナッツに惹かれて(目当てに?)、
それまではあまり関わりのなかった
ルーシーやコリンとも毎日のように遊ぶようになりました。
(現金なやつ!)
ピーナッツはすでにおじいちゃん犬で、
撫でるといつもぷーんと犬の匂いがして、
手のひらに白い粉がついたのを覚えています。
広い額はツヤツヤしていて、
唇は大きくって涎でビショビショな時もありました。
ルーシーの家の階段の下の薄暗い場所がピーナッツのベッドです。
外ではみんなと一緒に遊ぶこともあるし、
私たちがご飯の時には自分のベッドに入って寝ている、
そんなマイペースなおじいちゃん犬でした。
また、ピーナッツが繋いでくれた縁のコリンとは、
とっても気が合って、今でも彼女はベストフレンド!
コリンは、すごくゆっくり英語を話すのが上手で、
大人のワケワカメな早口な英語も、ちゃんと私に
伝わるように単語を区切ってゆっくり変換してくれるんです。
二人は、いつも粘土細工Fimoで
異様に長いソーセージドッグ(ダックスフント)を
作っては遊びました。
オーブンで焼いて固めた犬にニスを塗ってピカピカにすると、
粘土のソーセージドッグの目がキラキラ輝き、
毛もツヤツヤになり、
今にも動き出しそうなダックスフントが出来上がりました。
コリンが作る垂れ耳の犬はいつも風で吹かれたような、
動きのあるぺらぺらの耳をしていました。
小さい頃からそんな動物、特に犬オタクでしたから、
そんな噂を聞きつけて、シュウ、うちの犬も見にこない?
と声をかけてくれる子も居ました。ありがたすぎるお誘い。
リーサー・バーロウという子の家には、日本ではほとんど見かけない
ベアデッドコリーのおじいちゃんが居ました。
本当におじいちゃんで、
家の庭の芝生で寝ているのがやっとなくらいでした。
なので、直接的には関わりは薄かったのだけれど、
私がその後、イギリスを後にした直後、天国に旅だったとの
手紙が届きました。
だから、かなりの年齢だったのだと思いますが、
青い芝生の上で気持ちよさそうに太陽の光を浴びている姿は
とても幸せそうでした。
学年が一つ上のジェナ(苗字が出てこない)
の家には、片方が青い目をした綺麗なセーブルの
ボーダーコリーの、ティナがいましたよ!!
このティナはピーナッツとは違って庭で子供達が
遊んでいると、ふとした時にぐるぐると、
その周囲をまわって居ました。
子供達に愛想よく振舞うこともない。
今でこそ、それはボーダーコリーらしい習性だったんだと判りますが、
当時はなんかティナって絡みづらい不思議な犬、と思っていました。
でも、足が長くて、スレンダーですごく綺麗な犬でした。
片方の瞳だけジェナのお母さんと同じ、水色をしていました。
キャロライン・ヒューの家には、
スーキーと言う名の白黒のスパニエル系の犬が
預けられていることがありました。
知らない家だと言うのに、
人が激しく出入りする部屋のど真ん中で
デーンとお腹を出して寝ていました。
人間にはあまり興味はないようでしたが、
私はこの犬の落ち着きっぷりがすごく好きでした。
世の中への絶大なる安心感があって、満ち足りた様子でした。
こんな風に、他にも猫や長毛ハムスターにもよく会いに行きましたが、
やっぱり犬たちの記憶が鮮明です。
(今でこそ、猫ももっと絡んどきゃよかった!)
ホリデーシーズンに泊まったカントリーサイドのB&Bでは、
ボーダーコリーとジャックラッセルテリアが
お出迎えしてくれたことがとっても印象的でした。
人に全然寄って来ないジャックラッセルテリアが、
納屋の中の丸太の隙間に消えていったり。
また別のファームでは、
泊まる部屋に案内されて一息ついていると、
これまたジャックラッセルテリアが上機嫌で
サンドイッチをねだりにきたり。
お上品なバラ柄の、ベッドの上に土足で飛び乗る陽気な犬!
可愛かったなぁ。
人に媚びるわけでなく、
マイペースに楽しそうに生きているこの白い小さなテリアが、
ジャックラッセルテリアだと知ったのはいつだったのか?
とてもひょうきんで、可愛らしく、B&Bを訪れる度に
「ここにもあの白い小さい犬、いるかな?」とその姿を探しました。
スコットランドのB&Bでは、マンディという名の
とってもふくよかなMix犬が暖炉の前を陣取っていました。
(きっとまたジャックラッセルテリアのミックス)
何か悪さをしていたのか、
オーナーさんが”No, No,マンディ!!”
と諭すようによく言っていたので
そのフレーズが頭に染み付いています。
叱るでもなく、人間の子供に言って聞かせているような、
そんな落ち着いた口調だったのが印象的でした。
こんな風な、犬たちがお出迎えをしてくれる
イギリスのファームハウスのB&Bは、
この時から私の理想の暮らし、世界となり、今に至ります。
そして、こんな風に幼い私がイギリスで出会った犬たちは、
自由で犬らしく、とても穏やかでご機嫌でした。
オーナーが別段意識して
しつけやトレーニングばかりしている風でもなく、
むしろほっておかれているような。
犬のための生活があるというよりは、
人間の暮らしの中に犬たちが溶け込んでいたのです。
そんな暮らしの中の犬文化を、大人になった今、
もう一度この目で確かめたいと思ったのです。
続く。。。
<あとがき>
すごく長~くなりました!
私の、イギリスで暮らした経験、
そしてイギリスで見たこと感じたことは、
今、現在も私の核となっている特別な宝物です。
大切に胸に閉まってきたいろんな思い出を、
年月が経った今、忘れないように。
こうして少しづつ記していこうと思いました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!!